TSMCの工場誘致はなぜ熊本?意外に知らない優良企業が集まるワケとは

TSMCの工場誘致はなぜ熊本?意外に知らない優良企業が集まるワケとは

なぜ熊本?有名企業の一例

記事執筆時には、TSMCの新工場誘致が報じられている熊本。

また、

株式会社再春館製薬所、ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング株式会社、株式会社えがお、東京エレクトロン九州株式会社 etc…

これらの企業や関連会社が、熊本県にあるのをご存知でしょうか。

 

でも、

『なんで半導体の工場が熊本なんだろう‥』

と疑問に思いませんか?

 

そこで今回は、半導体工場や大手企業がこぞって熊本に集まる理由について調べました。

なぜ半導体で熊本?理由①:水がキレイ&豊富

なぜ熊本?理由

半導体産業は、製造にするのに純度の高い水を豊富に必要とします。

しかしTSMCの本社がある台湾では、近年、歴史的な水不足に悩んでいると言われています。

そこで目を付けられたのが熊本県です。

 

すでに工場のあるソニーと協力して、熊本県菊陽町に新工場を新設しています。

またTSMCのほかにも、株式会社再春館製薬所株式会社えがおなど、有名な化粧品・健康食品メーカーがあります。

 

化粧品も水の品質が重要なので、熊本が選ばれる理由として『水の存在』が大きいでしょう。

熊本の水は『地下水が多い』と言われるので、そう聞いただけでもキレイな水をイメージできます。

なぜ半導体で熊本?理由②:電力の安定供給

また、半導体製造が熊本に向いている理由としては、『電力の安定供給』も挙げられます。

半導体工場のエネルギー使用量は,1億KWh/年・工場レベ ルとなっておりエネルギー多消費産業

リコー『半導体工場における環境技術』より引用

このように、半導体製造には多量の電力を必要とします。

熊本に電力供給しているのは、九州全域をカバーする『九州電力』です。

左図は九州電力の電源構成図です。

原子力や火力など、バランスよく発電しているのがわかります。

九州電力は単独の発電には依存していない

→ つまり、電力供給が安定しているといえるでしょう。

なぜ半導体で熊本?理由③:海辺に隣している

海辺に隣した熊本は、船による輸出入がしやすい場所です。

ただ、熊本港は埋め立ての人工島の上に建設されており、クルーズ船やコンテナ船も着港可能です。

熊本港から熊本市南部には『熊本港線(熊本県道51号)』が伸びて、物流がしやすくなっています。

なぜ半導体で熊本?理由④:賃金が安い

熊本県の令和4(2022)年の最低賃金は、厚生労働省の資料によると『853円』で全国最低水準でした。

また、同年データによる九州各県の最低賃金は下記です。

【九州各県の最低賃金】
・福岡県 … 900円
・大分県 … 854円
・九州5県(佐賀県・長崎県・熊本県・宮崎県・鹿児島県) … 853円
~~~~~~~~~~~~~~
・国内の最低賃金… 853円

九州の中で福岡以外の県は、全国的な最低賃金とほぼ同じ金額です。

つまり、熊本県や近隣の給与水準は低いと言えます。

 

半導体製造工場は多くの従業員を必要とするため、人件費が増えるとコストもふくらみます。

そのため人件費の安い地域での生産は合理的な判断です。

また、熊本県や近県での雇用促進につながるため、地方の活性化が期待できます。

 

その他、熊本は九州の中心にあるため、人や物流が集まりやすい地理的なメリットもあるでしょう。

まとめ

半導体 熊本

以上、熊本県と半導体製造の関係でした。

2016年(平成28年)4月14日には熊本地震など災害もありましたが復旧が進み、豊富な水源に恵まれる熊本。

温泉地でも有名になり、観光地としても人気があります。

 

最近は人口減少や相次ぐ値上げなど暗い話題が多いですが、熊本から日本が元気になっていくといいですね。

最後までお読みいただきありがとうございました。